2025年、エネルギー起源の国内排出量は2%増 電力需要急増による石炭使用で

エネルギー情報局(Energy Information Administration: EIA)は7月21日、2025年のエネルギー起源二酸化炭素(CO2)の国内排出量が前年比2%増(約1億1,500万トン増)となったと発表した。猛暑による冷房需要の拡大やデータセンター、製造施設の電力需要増に伴い発電量が過去最高を記録したほか、石炭火力発電の割合が13%増加したことが影響し、電力部門の排出量が4%増加した。また、2024年に比べ厳冬となったことで、家庭・商業部門の暖房用エネルギー消費が増加したことにも起因した。一方で、産業・運輸部門の排出量増加は1%未満にとどまった。運輸部門は自動車の燃費向上や電気自動車(EV)普及が排出抑制に奏功したが、貨物輸送の活発化に伴うディーゼル燃料消費の増加と相殺される形となった。EIAは、太陽光が34%増の75テラワット時(TWh)、風力が3%増の12TWhなど再生可能エネルギーの発電拡大が、電力需要増に伴う排出量の更なる増加を抑制する役割を果たしたと分析している。 EIA “U.S. Energy-Related Carbon Dioxide Emissions, 2025” (07/21/26) https://www.eia.gov/environment/emissions/carbon/ 参照記事: Utility Dive “CO2 emissions from US power sector rose 4% last year” (07/21/26) https://www.utilitydive.com/news/carbon-dioxide-emissions-electric-power-eia/825805/

AIデータセンター急増で電力・水消費が大幅拡大 環境と地域保健へ影響

カンザス・ヘルス・インスティテュート(Kansas Health Institute: KHI)は7月、人工知能(AI)などの先端技術普及に伴うデータセンターの急速な拡大が、電力や水資源消費を押し上げ、地域環境や公衆衛生に複雑な影響を及ぼすとする報告書を発表した。2024年に国内データセンターが消費した電力は183テラワット時(TWh)と国内総電力使用量の4%超を占め、2030年には133%増の426TWhに達した。水消費量は2023年の170億ガロンから2028年には最大4倍に膨らみ、冷却用水や消費電力の増加により一部地域への影響が深刻化するという。また化石燃料がデータセンター向け電力供給の56%を占めるなど、ハイパースケール施設からの需要増が石炭火力発電所稼働延長につながり、クリーンエネ移行障害になっているとも指摘した。州政府がエネルギー報告や環境評価に注力する一方、地方自治体は区分け(ゾーニング)の厳格化や水使用制限などの規制を導入しており、KHIはコミュニティへの情報アクセスと合意形成プロセス構築の重要性を提言している。 Kansas Health Institute “The Environmental Footprint of Emerging Technology and Artificial Intelligence” (07/XX/26) https://www.khi.org/wp-content/uploads/2026/07/The-Environmental-Footprint-of-Emerging-Technology-and-Artificial-Intelligence.pdf 参照記事: Utility Dive “US data center electricity use could more than double by 2030: report” (07/21/26) https://www.utilitydive.com/news/us-data-centers-could-4x-water-use-by-2028-double-electricity-by-2030-khi/825774/

ペンシルベニア州、太陽光撤去計画策定を義務化

ソーラー・パワー・ワールド(Solar Power World)は7月21日、ペンシルベニア州のジョシュ・シャピロ知事(Josh Shapiro)が、発電出力2メガワット(MW)(AC出力ベース)以上の太陽光発電事業に対し撤去計画の策定を義務付ける法案に署名したと報じた。超党派の支持を受けて成立した上院法案第349号(SB 349)は、土地所有者と事業者間の賃貸契約において撤去計画を定めたもので、建設開始から30日以内の計画書提出、5年ごとの更新を義務付ける。また運転を停止した事業は18カ月以内に撤去・再整備を行う必要があるとも定め、計画が提出されない場合、事業者は第三者機関が算出した撤去費用相当額を土地所有者に支払わねばならないとした。さらに、同法は電力会社所有設備を除く発電設備や工事・搬入用通路の全面撤去、建設前の状態への土地復元を求めるほか、ウイグル強制労働防止法(Uyghur Forced Labor Prevention Act: UFLPA)遵守も義務化し、強制労働により製造された部品の使用を禁じる。業界団体は画期的な取り組みと歓迎の意を表明した。 Solar Power World “Pennsylvania passes law establishing solar decommissioning plans” (07/21/26) Pennsylvania passes law establishing solar decommissioning plans

商務省EDA、6カ所のテックハブに総額1.69億ドルを投資

商務省(Department of Commerce)の経済開発局(Economic Development Administration: EDA)は7月20日、6つの地域技術イノベーション拠点(テックハブ)に総額1億6,900万ドルを投資する意向を発表した。重要技術において世界をリードする人材や資産保有地域へ投資を行う取り組みの一環で、人工知能(AI)を活用した医薬品を製造するバージニア州拠点に1,600万ドル、量子材料の国内生産を拡大するイリノイ・インディアナ・ウィスコンシン州の拠点に3,000万ドルを投じる。また、次世代原子炉の商業化を進めるアイダホ・ワイオミング州の拠点に3,100万ドル、生物学的発見の生産展開を加速するカンザス・ミズーリ州の拠点にも3,400万ドルを割り当て、さらに、重要鉱物の加工能力向上を図るミズーリ州拠点に3,800万ドル、持続可能な森林由来技術の供給網(サプライチェーン)を強化するメイン州拠点に2,000万ドルを投じる計画である。EDAはこれら戦略的投資を通じて医薬品や重要鉱物、原子力分野の先端製造プロセス発展を推進していく。 EDA “U.S. Department of Commerce Intends to Invest $169 Million in Tech Hubs Funding to Enhance Economic Competitiveness and National Security” (07/20/26) https://www.eda.gov/news/article/2026/07/20/us-department-commerce-intends-invest-169-million-tech-hubs-funding-enhance

エネルギー省と労働省が覚書 鉱業分野への先端技術導入を加速

エネルギー省(Department of Energy)は7月21日、鉱業分野への人工知能(AI)や自動化、高度センサーなどの先端技術導入加速に向けた枠組み構築について、労働省(Department of Labor)と覚書(MOU)を交わしたと発表した。エネルギー技術や資源回収に関する専門知識や鉱山安全管理など両省の強みを活用する5年間の合意で、エネルギー省の炭化水素・地熱エネルギー局(Hydrocarbons and Geothermal Energy Office: HGEO)や重要鉱物・エネルギー革新局(Office of Critical Minerals and Energy Innovation: CMEI)、また、国立エネルギー技術研究所石炭卓越センター(National Energy Technology Laboratory Coal Center of Excellence)などの専門チームと労働省の鉱山安全保健管理局(Mine Safety and Health Administration: MSHA)が協働し、技術開発を進める。主に技術実証や危険検知技術応用による事故低減につなげるとし、人材育成や過去の鉱業データのデジタル化などに取り組み、重要鉱物の国内生産確保や生産性向上に向け密接に連携していくという。 DOE “DOE and DOL Partner to Advance Mining Innovation and Safety” (07/21/26) https://www.energy.gov/articles/doe-and-dol-partner-advance-mining-innovation-and-safety

下院中国特別委員会、中国製メモリー半導体の購入禁止維持を商務長官に要請

中国に関する下院特別委員会(House Select Committee on China)は7月16日、中国企業からのメモリー半導体購入を許可しないよう求める書簡を、超党派議員らが共同で、ハワード・ラトニック商務長官(Howard Lutnick)へ送付したと発表した。人工知能(AI)の需要急増に伴うメモリー半導体の世界的な不足を受け、アップル社(Apple)などのIT大手が中国の長江存儲科技社(Yangtze Memory Technologies: YMTC)や長鑫存儲技術社(ChangXin Memory Technologies: CXMT)などから調達を模索しており、深刻な安保上リスクを懸念する内容となっている。超党派議員らは、中国製メモリーへの依存が中国軍の技術開発を直接助成する形となり、国内供給網を危険にさらすとも指摘しており、中国企業の取引制限対象リスト追加検討や、米企業との取引禁止措置を提言した。さらに日本や韓国、欧州連合(EU)などの同盟国と連携した共同規制の実施なども提示し、厳格な輸出管理の維持と強化を求めている。 Nature “NSF plans cuts to core science programmes to fund White House initiative” (07/10/26) https://chinaselectcommittee.house.gov/media/letters/moolenaar-whitesides-to-secretary-lutnick-hold-firm-on-chinese-memory-chips-ban

中国主導「世界AI協力機構」が発足 29カ国が参加

ロイター通信(Reuters)は7月17日、中国を含む29カ国が人工知能(AI)分野における国際協力 と国際的なガバナンス推進を目的とした政府間機関「世界AI協力機構(World AI Cooperation Organization)」の設立協定に署名したと報じた。署名式は同地で開催される年次の世界AI会議(World Artificial Intelligence Conference)の前日に行われた。創設メンバーにはロシア、ベラルーシ、セルビア、キューバ、ブラジル、ベネズエラに加え、アフリカ10カ国、アジア12カ国が含まれ、本部は上海に設置される予定となっている。中国は昨年の同会議で本機構の設立を提案していたが、これまで正式に参加を表明した国はなかった。 Reuters “Twenty-nine countries sign agreement to establish global AI cooperation body” (07/17/26) https://www.reuters.com/world/china/twenty-nine-countries-sign-agreement-establish-global-ai-cooperation-body-2026-07-16/

連邦地裁、新規則に基づく連邦補助金の遡及的取り消しを違法と判断

ポリティコ誌(Politico)は7月17日、連邦地方裁判所が、行政管理予算局(Office of Management Budget: OMB)に対し、事後に設定された新規則や方針を理由に、交付済みの連邦助成を取り消すことはできないとの判決を下したと報じた。オバマ前大統領が指名したインディラ・タルワニ判事(Indira Talwani)が、20州と3知事、またコロンビア特別区による訴訟の棄却を求めたトランプ政権の請求を退けたものである。同判決で、交付決定後に特定機関の優先事項に基づいて助成を終了させることは連邦法で認められていないと結論付けられたことから、記事は、政治任用者へ助成承認や取消権限を与える新たな規制導入を進め、数百万ドル規模の給付済み助成の取り消しを図ってきた政権にとっては大きな打撃となると伝えている。 Politico “Judge rules OMB can’t retroactively nix grants based on new rules” (07/17/26) https://www.politico.com/live-updates/2026/07/17/congress/judge-knocks-omb-grant-termination-01003836

AI兵器配備加速で、自律型兵器規制を巡る議論活発化

ワシントン・ポスト紙(The Washington Post)は7月20日、トランプ政権が国防総省(Department of Defense)に対し人工知能(AI)を活用した自律型兵器の配備加速を命じ、目標識別から攻撃決定までを自律的に行う兵器導入を巡る議論が再燃していると報じた。シリコンバレーのファウンデーション社(Foundation)などが自動で迫撃砲を装填するヒト型ロボット等の開発を進める一方、ローマ教皇レオ14世(Pope Leo XIV)や国連、人権団体や研究者らは「倫理的に許容できない」と反発を強めている。また、先端AI企業のアンスロピック社(Anthropic)がモデルの信頼性不足を理由に完全自律型兵器への技術提供を拒否して政権と対立する中、連邦議会でも自律型兵器の利用促進とガードレール設定を巡る防衛法案の審議が行われている。一方、政府は中国やロシアに対抗するためと主張して、AI導入を迅速に進める方針を堅持しており、オープンAI社(OpenAI)などが人間による適切な承認を前提とした防衛連携を継続しているものの、業界内では意見が割れているとも伝えた。 The Washington Post “Armed robots are on the horizon, as Silicon Valley pitches new military tech” (07/20/26) https://www.washingtonpost.com/technology/2026/07/20/how-armed-robots-could-become-military-weapon-choice/

ロッキード・マーティン社、ドローン群を一括無効化する新高出力マイクロ波兵器を開発 

ディフェンス・ニュース(Defense News)は7月21日、ロッキード・マーティン社(Lockheed Martin Corporation)がドローン群を低コストで無効化する地上発射型高出力マイクロ波(High Power Microwave: HPM)対無人航空機システム「モーフィアス・Xローター(Morfius X-Rotor)」を発表したと報じた。1回の飛行で50機以上のドローンを無効化できるほか、独自のセンサーや射撃統制レーダーに依存せず、あらゆる指揮統制システムと連携して運用することが可能で、回収・再利用も可能という。特に軽量かつ再利用可能なHPM構造により、高い撃墜率と低コストを両立させたとし、前線への早期配備に向けて、試作機とHPMペイロード製造を加速する。イラン製ミサイルやドローン攻撃対抗に向けた迎撃ミサイル備蓄確保が急務となっており、安価な対抗策への転換が求められていた。アリゾナ州などでのテスト飛行を経て、今後も試験が予定されており、同社は廉価版パトリオット迎撃ミサイルも併せて提案している。 Defense News “Lockheed Martin’s Morfius X-Rotor built to fry 50 enemy drones in one flight” (07/21/26) https://www.defensenews.com/industry/techwatch/2026/07/20/lockheed-martins-morfius-x-rotor-built-to-fry-50-enemy-drones-in-one-flight/